恋華宮廷記〜堅物皇子は幼妻を寵愛する〜
熱い風が頬を叩く。馬での長旅は、なんの訓練もされていない鳴鈴の体力を徐々に奪っていった。
(早く追いつかないと)
鳴鈴は油断するとぽろりと出てきそうになる弱音を噛み潰した。
水辺を見つけては休憩しながら、通常三日かかる清張城までの道のりを、鳴鈴と李翔は二日でたどり着いた。
「二兄なら、早朝に出陣されましたよ」
城の門を叩き、中に招き入れられた彼らに告げられたのは、遠慮のない悲劇的な事実だった。
清張城の主である第四皇子・鍾平王は、いつ攻めてくるともわからぬ萩軍を迎え撃つ準備で忙しそうにしている。「本当はそんな敵来ないよ」と言ったところで信憑性は薄い。
話をする時間が惜しいので、李翔は適当に言った。
「俺は二兄に主上のお言葉を至急伝えるために来た。ついては、探索のために少し兵を貸してほしい」
「どのようなお言葉でしょうか? そしてなぜ、お妃さままでいらっしゃるのです?」
「ごたごた言ってないで、二百人ほどよこせ! 俺はお前の兄だぞ!」
短気な李翔は、理屈屋の鍾平王に腹を立てて怒鳴る。結局城の警備を一気に減らすことはできず、とりあえず二十名借りられることになった。