恋華宮廷記〜堅物皇子は幼妻を寵愛する〜
「それで、お前たちで抗戦したわけか。よく生き延びた」
飛龍とふたりの側近で築いた屍の山を見て、李翔が唸った。
「ただの死にぞこないです。相方を失いました」
星稜王府の双璧と呼ばれた側近のうちひとりは、隣の木の下で息耐えていた。あまりにも静かに眠っている。
「ひどい……」
鳴鈴は王府の人間が死んだことを悼む。そして、これほど多くの命を弄ぶ武皇后に怒りを覚えた。
「誰か来てくれ!」
李翔が呼子(ヨビコ)を吹き鳴らす。兵士を招集するための小型の笛だ。耳障りな高い音が森に響く。するとすぐに清張城の兵士が集まってきた。
「彼を運んでくれ。丁重にな」
李翔の命令通り、兵士たちは傷ついた側近の体を運ぶために馬に横にして乗せる。
「徐妃さま、徐妃さま……」
馬の背中に固定されながら、側近が鳴鈴に手を伸ばす。彼女はそのごつごつした手を、血で汚れるのも構わずに握った。
「必ずや、星稜王殿下を見つけてください……よろしくお願いします。殿下は、肩に弓を受け……」
彼の目からは涙が流れていた。鳴鈴の胸がいっぱいになり、喉の奥がつかえたように苦しくなる。