恋華宮廷記〜堅物皇子は幼妻を寵愛する〜

また冬になったら雪遊びをしましょう。風邪をひいたら、薬を飲ませてくれる?

そうそう、来年の花朝節こそ、楽しい思い出にしなくちゃ。もう池には近寄らない。食い意地も張らないように気を付けます。

辛いこともたくさんあった。けれど、あなたが私を愛してくれた。

あなたの過去の傷を癒すことはできないかもしれない。

でも、これからのあなたに寄り添って生きていきたいから。

(お願い、届いて──!)

鳴鈴の頬を、涙が伝っていく。李翔はその姿を黙って見ていた。すると。

「ちょっと待って」

一心不乱に笛を吹いていた鳴鈴を、李翔が止めた。首を傾げる彼が、ある一点を見ている。

「水音……だけじゃない」

李翔は呼子を吹き鳴らした。すると、微かに細く高い音が返ってきた。

「応えた!」

音のした方に駆けていく李翔。鳴鈴はそのあとを追う。

「おっとっと!」

いきなり視界が開けたと思ったら、李翔の腕に止められる。足元に違和感を覚えて見ると、つま先の辺りから地面が切れてなくなっていた。

「崖だ」

鳴鈴は思わずその場に座り込んだ。見下ろすと、崖の下は河原になっていた。静かに流れる川の音が聞こえる。

「飛龍さま!」

鳴鈴が叫ぶと、微かな呼子の音が崖の下から聞こえてきた。

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