恋華宮廷記〜堅物皇子は幼妻を寵愛する〜
普段は明るく前向き思考を心がけている鳴鈴だが、一度考え込んでしまうとなかなか浮上できなくなるのが難点。自分でも承知している短所だ。
ため息が白く染まる。足の先が痛いほど冷たくなってきて、部屋に戻ろうとしたとき。
「鳴鈴」
廊下から名前を呼ばれ、驚いて顔を上げる。そこには飛龍が立っていた。
「殿下」
「どうしてそんなところにいる。戻ってこい」
手招きをされ、素直に応じる。廊下に上がるとき、飛龍が手を貸してくれた。背後で緑礼が「助かった」と呟き、安堵の表情を見せていた。
「冷え切っている。また風邪をひくぞ」
大きな手が自分の小さな手を包んで温める。鳴鈴はそれをじっと見つめた。
「大丈夫です。雪合戦のときも、風邪をひかなかったでしょう? 私、だんだん寒さに強くなってきているような気がします」
「あれは、帰ってすぐ湯あみをしたからだろう。湯あみの後で冬の庭を歩き回る奴がいるか」
室内に鳴鈴を招き入れ、外套の上から自分の上衣をかけてくる飛龍。過保護だと感じながら、どこかで嬉しかった。
微妙な沈黙の後で、先に口を開いたのは鳴鈴だった。