恋華宮廷記〜堅物皇子は幼妻を寵愛する〜
竹でできた笛は茶色に塗られ、金色の線が引かれている。
それを横に構え、そっと小さな唇を寄せると、大きく息を吸いこんだ。それを一気には吐き出さず、安定させて少しずつ排出する。
高すぎず低くもない、女性が歌うような音色が笛から鳴鈴の全身を振動させ、部屋中に満ちていく。
(どうか、殿下が戦場でも、王府の皆のことを思いだしてくれますように)
自分を大切に思う者たちがいることを忘れないでほしい。冬は雪に覆われる故郷を思い出し、戦が終わったら必ずここへ帰ってきて──。
鳴鈴は祈りを込め、笛を吹いた。まぶたを閉じていたからわからなかったが、飛龍はそんな鳴鈴を一心に見つめていた。