恋華宮廷記〜堅物皇子は幼妻を寵愛する〜
堂々と凱旋してきた星稜軍を迎え、街は歓喜に沸き立っていた。
あちこちから祝いの太鼓や笛の音が聞こえ、「星稜王万歳!」と歓声が上がっている。
鳴鈴は王府の門まで出て、彼らを出迎えた。白馬に乗った飛龍がひらりと地上に降りたつ。それだけで鳴鈴の胸は高鳴った。
「お帰りなさい……殿下」
笑おうとするのに、涙が溢れ、喉がつかえた。
(ご無事でよかった。本当に……)
少し疲れたように見える以外は、出陣するときと何ら変わらない。
三日かかると言われた道のりを一日で帰ってきてくれた。どこにも寄り道せず、真っ直ぐに自分がいるところへ帰って来てくれたのだ。
五体満足な飛龍の姿を見たら、それだけでじゅうぶんな気がした。
飛龍は無言でうなずき、柔らかな微笑みを浮かべる。そして、具足をつけたまま鳴鈴を引き寄せ、抱きしめた。
「いい子にしていたか、鳴鈴」
飛龍の胸からは、血と汗の混在した匂いがした。それでも、全然嫌じゃなかった。妹扱いだって、今は許せる。
体を放した飛龍に、鳴鈴は涙を拭ってやっと微笑んだ。