恋華宮廷記〜堅物皇子は幼妻を寵愛する〜
飛龍もますます目を細める。鳴鈴がその笑顔に見惚れていると、彼の大きな手が小さな頬を包む。
その温かさを感じる間もなく、飛龍は紅の梅化粧をした鳴鈴の額に、そっと口づけた。
「で、でん、か……っ!?」
ぼっと火がついたように熱くなる頬。すぐに離れた飛龍は、不思議そうな顔をしていた。
「嫌だったか」
周りを囲んでいた将軍や兵士たちが満面の笑顔で自分たちを見ていることに気づき、鳴鈴は余計に恥ずかしくなってしまう。
(もしや、「俺は正妃と仲良くしているぞ」という周りへの訴えかけ?)
それならわかる。そうでなければ、飛龍から自分にこんなことをする理由がない。
「いいえ、嫌だなんて滅相もない。ただ、照れてしまいます」
小さな手で顔を隠す初々しい若妻を見て、飛龍は笑った。
笑いは伝染する。兵士たちも笑いあい、笑い声はいつの間にか歌声に変わる。
故郷に帰ってきた喜びと、星稜王の武勲を称える歌が、いつまでも王府の中に響いていた。