恋華宮廷記〜堅物皇子は幼妻を寵愛する〜
四月。
崔の雪は跡形もなく溶けて消え去り、穏やかな日差しが人々を照らす。
「鳴鈴! 久しぶりねっ」
「会いたかったわ、宇春」
毎年皇城で催される花朝節の宴に招待された鳴鈴は、宇春との再会を喜んでいた。
結婚前に会った宇春は、その後無事に第三皇子・李翔(リショウ)の妻となった。先月行われた婚儀は戦の最中だったので鳴鈴が飛龍の代理で参加したのだが、彼女の花嫁姿はそれは美しく、鳴鈴はため息ばかりついていた。
花嫁は忙しく、鳴鈴はすぐに星稜に帰らなければならなかったので、そのときはゆっくり話すことができなかった。
「とっても素敵よ、鳴鈴。あなたは牡丹花神ね」
花朝節は、春の訪れを祝う節句。花の神である花神を祀る儀式では、山々に向かって供物を捧げ、祝詞を詠唱する。そのあとは皇城に咲き乱れる春の花を見ながらの宴である。
皇帝や皇子の妃は花神に扮装するように定められており、皆春らしく目にも鮮やかな衣装を身に付けていた。
宇春は菊の花神に扮している。元気いっぱいに見える黄色の裙がよく似合っている。上襦は朱色で、宇春のはつらつとした雰囲気にぴったりだった。