恋華宮廷記〜堅物皇子は幼妻を寵愛する〜

鳴鈴は牡丹の花神。自分で選ぶ前に、飛龍に指定され、衣装もいつの間にか発注されていた。

飛龍はそういうことに気が利く性質ではないので、おそらく翠蝶徳妃が根回ししてくれたのだろう。

額の上に薄紅色の牡丹の絹花をつけ、両横にはしゃららと揺れ動く金歩揺(キンホヨウ)。頭の上に二つ輪を作る飛仙髻(ヒセンケイ)を二本の簪が支える。

襦は水色で、下から出る袖や細かいひだがついた裳は薄い桃色。絹団扇には牡丹と鳥が描かれている。白い被帛や上襦には草花の模様が織り込まれていた。

「星稜王殿下も喜ばれたでしょう。李翔さまも『最高に可愛い』って褒めてくださったわ」

「宇春、本当に綺麗だもの」

今日の鳴鈴の姿を見た飛龍は、喜んでいたのか……実は鳴鈴自身はよくわかっていない。

いつものように少しだけ頬を緩め、「本物の花神かと思った」と言ってくれたが、「可愛い」や「綺麗」とは言ってくれなかった。

花嫁衣装さえ褒めてくれなかった飛龍だ。きっとそういうのが照れくさいのだろう。でも。

(いいなあ、宇春……)

鳴鈴から見た宇春は、この世の春を一心に背負い、喜びで光輝いていた。


< 68 / 249 >

この作品をシェア

pagetop