恋華宮廷記〜堅物皇子は幼妻を寵愛する〜
「私なんて、もうおばさんね。子供をひとり産んでしまったもの。すぐに二人目、三人目と増えていくでしょう。体が衰えていくわ」
と言いながら、太子妃は優越感に浸った顔で笑う。宇春は鳴鈴の事情を知らなかったので、気づかわしげに彼女を見つめて黙っていた。
「鄭妃、懐妊したら是非教えてちょうだい。体にいい食べ物を贈らせていただくから。徐妃はまだまだ、その可能性はないわね」
恥ずかしさで、全身が震えた。宇春が気遣うように、肩に手を回してくれる。緑礼も相手が相手なだけに、何も言わずに傍に控えていた。
「ありがとう、ございます……」
曇った声で礼を言う宇春。
「頑張ってね、徐妃。夫に抱いてもらえない妃なんて価値がない。跡継ぎを生めなければ人形も同然よ」
「……っ」
なんてひどいことを言うのだろう。鳴鈴は、とうとう顔を上げて楊太子妃をにらんだ。
「でもっ、私と星稜王殿下は仲良しなのですっ」
共寝はしなくても、仲が悪いわけじゃない。飛龍は不器用なところもあるけれど基本優しいし、初めの頃に比べたら一緒にいる時間も増えた。
ふたりでいると、心が安らぐ。共寝をしなくたって、幸せな気分になれる。それではダメなのか。