恋華宮廷記〜堅物皇子は幼妻を寵愛する〜
「困ったわね。次期皇后となる人間があんな差別発言をするなんて、言語道断よ」
「少しは懲りたんじゃない?」
武皇后と翠蝶徳妃が仲良さそうにしているのを、鳴鈴は不思議な気持ちで見ていた。
後宮の女性たちは皆皇后の座を狙って、熾烈な戦いを繰り広げるというのが世の常というものだが……。
「仲良くしなきゃダメよね」
「ねっ」
二人の中にはのほほんとした空気が漂っていた。
「では、私は先に行きますわね。ああ徐妃、あんなの気にすることなくてよ。星稜王はまた素晴らしい武勲を立てたそうね。おめでとう」
「ありがとうございます」
「星稜王は崔の貴重な人材です。これからも彼を支えてくださいね」
「はいっ」
素直にうなずく鳴鈴に微笑んだ皇后は女官に囲まれ、しゃなりしゃなりと皇帝がいる亭の方へ歩いていった。
「ところで鳴鈴」
翠蝶徳妃が声をかけた。鳴鈴は下げていた頭を上げる。
「あなた、今本当に幸せ? 飛龍にいけないところがあるなら、私から言ってあげるわよ」
太子妃の発言が気にかかっているのだろう。気遣うような徳妃の声に、胸が痛む。
(あの耳飾り……)
徳妃なら何か知っているだろうか。
あれは飛龍の母親のものなのか、それとも。自分との縁談が来る前、彼には想い人がいたのかどうか。