恋華宮廷記〜堅物皇子は幼妻を寵愛する〜

一瞬で色んなことを考えたが、結局鳴鈴はそれを胸の奥に押し込めた。

「いいえ、大丈夫です」

皇后ともあろう人が庇ってくれた。そう、何もかも、ひとそれぞれだ。自分たちは自分たちのやり方で、幸せになるしかない。

鳴鈴は頑張って笑顔を作った。しかしそれは、緑礼や宇春を心配させるような、ぎこちない笑顔だった。

「でも、今日はしばらくひとりにしてください……宇春、ごめんね。緑礼も……」

消え入るような声で言った鳴鈴は、とぼとぼと歩き出した。



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