恋華宮廷記〜堅物皇子は幼妻を寵愛する〜
妃を娶ることを拒否していたのは、過去に飛龍が遭遇した、ある出来事が起因している。
だが、娶ってしまったからには、彼女を幸せにする義務が自分にはあるのでは、と飛龍は考え始めていた。
「ん?」
「どうしました」
「一緒にいない。おかしい」
鳴鈴は翠蝶徳妃か宇春しか、気楽に話せる相手がいないはず。けれど宇春は別の妃と話しており、その傍に鳴鈴の側仕えのはずの緑礼が周りを気にするようにきょろきょろとしていた。
胸騒ぎがして、飛龍は立ち上がった。
「外に出てくる」
「え、じゃあ俺も! 宇春のところに行く」
「勝手にしろ」
酔っ払いの面倒を見る気はない。飛龍はふらふらと怪しい足取りの李翔を捨て置き、駆け出した。