恋華宮廷記〜堅物皇子は幼妻を寵愛する〜
庭に出た飛龍は一目散に緑礼の元に駆けつけ、鳴鈴の居場所を尋ねた。
「すみません。ついさっきまで目で追ってはいたのですが」
緑礼自身、鳴鈴が突如視界からいなくなって慌てていたところだという。
都には、賊が頻出している。鳴鈴のように襲われた貴族は後をたたない。あのとき会った賊は、上等な服を着ていた。貴族の息のかかった者だとすれば、城の中を出入りしている可能性もある。
怖がらせないように賊の話題は避けてきた飛龍だったが、こうなるとちゃんと言い聞かせておくべきだったと後悔する。
「どうしてひとりにした」
緑礼を詰問すると、宇春が駆け寄ってきた。
「鳴鈴はひとりになりたいと自分で言ったのです。星稜王殿下のせいですわよ」
宇春はつり目をますます吊り上がらせ、飛龍を睨んだ。
「俺の?」
わけがわからない飛龍に、宇春は手短に楊太子妃に嫌味を言われたことを話した。
「鳴鈴はとっても恥ずかしくて悲しかったはずです。早く探してあげてください」
宇春はそれだけ言って、近づいてきた李翔の方に歩いていってしまった。
非常に気まずくなったその場の空気をとりなすように、緑礼が切りだす。