恋華宮廷記〜堅物皇子は幼妻を寵愛する〜
「緑礼が来るまでは、傍にいてくださる?」
ひとりになるのは怖い。いくら宮殿の中とはいえ、皇帝の庭にまで入り込める下手人が、まだ近くにいるかもしれないと思うと、安心はできない。
「ああ。何も心配しなくていい」
微かに微笑んだ飛龍。鳴鈴はホッとして、横になった。
何気なく投げ出した手を、飛龍の大きな手がそっと握る。鳴鈴はビックリして、閉じようとしていた目を見開いてしまった。
そういえば、風邪をひいたときもこうやって傍にいてくれた。
じわりと目に涙が浮かんでくる。
飛龍が他の誰を好きでも、諦めることはできない。鳴鈴の想いは日に日に増すばかり。
(でも殿下は幸せなのかしら……)
愛しい人が一緒にいてくれるだけで、自分は幸福なのだと鳴鈴は実感する。
心の中の疑問を、飛龍に問いかけることはできなかった。
その答えを聞くのが、怖かった。