恋華宮廷記〜堅物皇子は幼妻を寵愛する〜
翌朝起床した鳴鈴は、用意された朝餉を完食し、周囲を安心させた。
星稜王府に帰る支度を整え、皇帝に挨拶にいく。隣にはもちろん飛龍がいた。
通された部屋に入ると、皇帝と武皇后が並んで座っていた。飛龍と鳴鈴はそろって頭を下げる。
「予定より早くはありますが、これにて失礼いたします」
「徐妃は怖い思いをしましたね。無理をしなくても、ゆっくり滞在していっていいのですよ」
素っ気ない飛龍の挨拶に、武皇后が返す。
ありがたい申し出だが、鳴鈴としても飛龍としても、皇城に長居したいとは思わなかった。下手人が傍にいるかもしれないのだ。
「ありがとうございます。もう大丈夫です」
鳴鈴がより深く頭を下げると、皇帝が話しだす。
「それはよかった。そうそう、飛龍には古斑との戦の褒美を取らそうと思っていたのだ。遅くなってすまんな」
眉目秀麗な飛龍の顔は母親譲りなのかと思いきや、意外に父である皇帝に似ている。鳴鈴も初めて皇帝の顔を直接見た時は驚いた。
皇帝はとうに五十歳を超えているとは思えない若々しさを保っていた。少々強引で野心的なところもあるが、民の評判は悪くない。