恋華宮廷記〜堅物皇子は幼妻を寵愛する〜
まだまだ頭の回転も衰えていないということだが、体力的な問題からそろそろ皇帝の座を皇太子に譲るのではないかという噂が宮廷内で囁かれていた。
「褒美なら、もういただきましたが」
戦が終わってすぐ、飛龍は皇城を訪ねて戦の報告をしていた。そのとき、食料や金子、芸術品などなど、それ相応の褒美をもらっている。
首を傾げる飛龍に、皇帝はいたずらっぽく笑った。
「あれは基本報酬だ。手柄を上げたお前に、特別な褒美をやろう」
「それはいったい……」
「聞いて驚け。崔が誇る選りすぐりの美姫二十名だ!」
皇帝が立ち上がって両手を広げる。しかし、武皇后も飛龍も、眉をひそめて固まってしまった。
「美姫……二十名……」
鳴鈴もそれ以降言葉を失った。
皇太子以下の皇子が娶ることのできる側妃は四人までと決められている。それなのに、二十人の女性を褒美として与えるとは。
「まだ子がいないお前を心配しているのだ。お前が気に入った者を妃にすればいい。次代星稜王が生まれれば、領地の民も安心するだろう」
武皇后が皇帝を軽蔑するような目つきで睨んだ。鳴鈴も顔に出さないように気をつけたが、胸がむかむかした。
(殿下のお子が生まれないのは、私が悪いからって言われているみたい。ひどい)