恋華宮廷記〜堅物皇子は幼妻を寵愛する〜

女性は子供を産むためだけにいるのではない。

しかし、一国の皇帝の前でそれを発言するのは不可能だった。

(殿下、どうするのかしら)

見上げた飛龍の横顔はもう冷静さを取り戻していた。

いくら息子でも、皇帝の褒美を拒否することは許されない。

どうするのかとハラハラしていると、飛龍が口を開いた。

「せっかくですが、二十名の側妃をいただいたとしても、私は誰ひとり懐妊させることができません」

「なぬ!?」

その場にいる誰もが飛龍の発言に呆気にとられた。

「おぬしまさか……子種がないのか? 侍医にそう診断されたのか?」

ぶるぶると震えている皇帝。飛龍は冷静な顔で言い返す。

「いいえ、そういう意味ではなく。私の心は、徐鳴鈴ひとりのものだからです。妃は彼女だけで結構です」

「へっ!?」

信じられない言葉に、鳴鈴が驚いて目をむく。

「今まではまず心を通わせる時期と思いつつ、若い妃を怖がらせないように、自制をしておりました。しかし父上が私の跡目をお望みなら、今晩から子作りに励むことにいたしましょう」

まるで別人みたいな物の言い方をする飛龍に、真っ赤になって口をぱくぱくさせるしかできない鳴鈴。


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