恋華宮廷記〜堅物皇子は幼妻を寵愛する〜
「うむ……そうか! 翠蝶徳妃の推薦で徐妃を娶らせたはいいが、歳の差がありすぎてうまくいっていないのかと心配しておったのだ。仲がよさそうで安心した」
「何もご心配なく」
「最初は優しくしてやるのだぞ」
「心得ております」
上機嫌で笑う皇帝。武皇后の表情も緩んだ。
和やかな雰囲気で終えた謁見のあと、長い回廊を先に歩く飛龍のあとを、鳴鈴はぎくしゃくとした足取りで追いかける。
「あ、あ、あのう、殿下……」
声をかけただけで、飛龍はくるりと振り向くと同時に口を開いた。眉間にシワが寄っている。
「さっきの発言のことなら、望まない褒美を拒否する方便にすぎない」
鳴鈴は立ち止まり、口をつぐんだ。やはり、飛龍が自分を愛しているわけないのだ。いきなりの溺愛発言、おかしいと思った。
容赦ない言葉の衝撃でしょんぼりとうつむくと、その場をとりなすような低い声が聞こえてきた。
「……子作りどうのというのは方便だが、妃はお前一人でいいというのは本当だ」
「えっ」
鳴鈴が顔を上げると同時に、飛龍はぱっと背中を向けてしまう。