失礼ですが、強い女はお嫌いですか?

リリエラは反射的に立ち上がる。
キィィっと立て付けの悪いドアが音をたてた。

勢いよく音のした方へとリリエラは視線を飛ばす。そして、ハッと息をのんだ。


「久しぶりだな」


それは記憶よりも低い声だった。
背丈だって、うんと伸びてドアがひどく小さく見える。

だけど、蝋燭の光で浮かび上がった顔には面影があった。記憶ではもっと可愛らしかったが、愛らしさの代わりに精悍さを手に入れたその顔は、あまりにも美しく、恐ろしくすら思える。


「……鍵、閉めてたはずだけど」

「最初の言葉がそれか。相変わらずだな」


軽い言葉とは裏腹に、ドアを大きく開いて室内に足を踏み入れた彼の表情は固く険しい。
青い切れ長の目は、リリエラを捕らえて離してはくれなかった。


「……なぜここに?」

「どうしてだと思う?」


そこで初めて、彼は口角を上げる。その瞬間、リリエラは思わず身を引いた。

笑っている。いや、笑っているように見える。
けれど、リリエラは全身で感じていた。

彼ーーレオネル・シャンディアの怒りの感情を。
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