失礼ですが、強い女はお嫌いですか?
「おはようございます!」
「はーい! 皆おはよう!」
澄んだ空気漂う太陽の下、学校へと向かう子供達の元気な声が辺りに響く。
エデリという町は、ソメリオ王国の国境沿いにある元マホーン伯爵領、現クリント伯爵領の中でも端に位置する町だ。
クリント領は鉱山があり、そこから発掘される『女神の涙』と呼ばれる鉱石を加工した宝石が主な収入源である。
ソメリオ王国の特産物である『女神の涙』は、純度の高い透明度を持つ鉱石で、加工すると太陽の光を浴びて七色の光を放つ宝石へと変わる。
希少価値が高く、高値で取引されるが、ある程度の大きさがないと七色の光を放たない。
そのため、小さな『女神の涙』は捨て石と言われ、地元の庶民の手に渡ったり、鉱山のどこかに捨てられたりしていた。
エデリは鉱山に近い町のため、加工の技術者が多く住む町だ。最も、最近では『女神の涙』を発掘し尽くしたのか、個数がとれず、衰退気味でもある。
「リリエラ先生、おはよう!」
「おはよう。宿題はしてきたかな?」
「してきたー!」
無邪気な笑顔で元気一杯に声を上げる子供達。
そんな彼らを古びた小さな校舎の入り口の前で出迎えるのは、胸辺りまである金色の髪を一つに纏め上げ、昨夜の暗い表情とはうって変わった満面の笑みを浮かべているリリエラだ。