サーペンディス 天秤に架けられた少女
私達の足が大地に着くと、箒を降りた。
林の中のお屋敷。昔っから相変わらずお屋敷の中も外も草でぼうぼう。出入り口の鉄格子は堅く閉まっている。起きてるかしら?
鉄格子を開けようと腕を伸ばす。と、触れる前にすっと鉄格子が開いた。
珍しい。こんな時間に起きてるなんて。
正面のお屋敷に向かって歩いていく。草は朝露に濡れて、スカートが重くなっていく。
女の子も足を草にとられながらも着いていく。
玄関に着き、ドアを叩こうと手を握った時、目がドアの隙間に行った。白い紙が挟んである。四つ折の紙を開くと金字で、
『裏庭にいます。 イーグレット』
んもぅ、スカート換える時間が無くなるじゃない。
女の子は紙を覗き込むので、紙を傾かせ、
「裏庭だって」
四つ下りの紙をたたみ直し、ポケットに突っ込み、家の脇道に行った。
花が咲いているのか、匂いが鼻に着く。
そーいえばお父さんが魔法陣大臣だけあって『魔法円陣学』の成績良かったけど『薬草学』の成績も良かったっけ。
脇道を抜けると玄関の林の中とうって変わって朝日がさんさんと降り注いでる。眩しい―――。庭は広く一面にいろいろな花が咲き誇っている。きれい。
あいつは庭の片隅にガーデニングテーブルを出して座っていた。女の子は口を開いて驚いている。家の主が私達に気がついて、こっちに歩いてきた。そして口を開いた。