一匹狼くん、拾いました。
挑発するようなわざとらしい態度にむしゃくしゃして、俺は緋也目掛けて蹴りを入れた。
「おっと!!」
しかし、緋也はそれを簡単に交わした。
「クク、動き鈍くなったね銀狼」
刹那、緋也の拳が俺の腹に直撃した。
「……グっ!この卑怯者がっ!!」
腹を抑え、俺は緋也を睨みつけた。
寒がりの自分を恨んだ。
熱が出たみたいに、頭がぼーっとしていく。
「アハハハハ!!それ、褒め言葉?」
「痛ッ!!」
緋也は笑い、俺の片足を鉄パイプで叩いた。
「はぁっ、はぁ……」
俺は、思わずマンションの壁に倒れるようによっかかった。
「銀狼、血流に来い。あんたを駒として使ってやるよ」
緋也は俺のパーカーの胸ぐらを掴みあげ、
悪魔のように笑った。
「はぁ?……誰がお前のとこなんか行くかよ」
緋也は、拒否は許さないとでも言うように俺の腹を鉄パイプで叩いた。
「ガハッ!!」
思わず、俺は血を吐いた。
………ヤベ。
これ、どうにかして逃げ出さねぇと、俺下手したらこのまま倒れるかも。