一匹狼くん、拾いました。
何か……隙があればいい。
「銀狼」
「血流には入らねぇ」
緋也が俺の頭部めがけて、鉄パイプを振り上げる。
俺はそれを両手で受け止め、逆に鉄パイプごと緋也をタイル張りの地面に押し倒し、逃げた。
「……っ、銀狼を追え!!」
後ろから緋也の声が聞こえてきた。
足も腹もありえないくらい痛くて、血はぼたぼた流れていて、自分が走れてるのが信じられないくらいだった。
それでも俺は商店街を抜け、バイクを停めていた有料の駐輪場めがけ、走り続けた。