王子は冒険者になる!


しばらく王子についていると解ったことがある。


王子は 優秀だ。


朝は朝食前に軽く 中庭を走る。
その後、魔力を安定させるための呼吸法、
柔術の型、剣の素振りなどを軽く済ませる。

体を清めてから、朝食。

そして 勉強。
これは日によって変わるが
全教科、そつなくこなしているように見える。

座学は『飛び切り優秀だ』という印象は受けないが、
真面目に取り組んでいるらしい。

第一王子のアレッサンド様が 座学と魔術の扱いが天才的に才能があるから
思わず比べてしまうが、
同世代の子供たちと比べると、かなり優秀だと思う。

午後からは、体術や魔術が多い。

魔術はじじぃ・・・こほん。バームス先生が楽しそうに教えているから
安定した魔力や操作性とはいかなくても、
光の魔術だけではなく、全属性をある程度 使える。

まぁ、使えるだけで実戦向きか、と言われると
うーん。。炎や水はやっぱり その魔力もちには劣るが 十分対応できるだろう。土は微妙だな。畑を耕すにはいいが、鉄壁は築けない程度だな。

でも、ある程度使えるのは、やっぱり『王族』で
あの「黒もち」のアレッサンド第一王子の弟だけあるなぁ。
魔力量が安定してはいないが、底知れない。

体術は、たいてい一つ下のマーカーに負ける。
マーカーは騎士団長の息子で 幼いころから騎士の英才教育を受けているから、
あれを『魔力防御』せずに戦うほうが無謀だ。

「・・・王子。なぜ、魔力防御されないんですか?」
「あぁ、ジゼ。僕の魔力が安定しいから
 まだ魔力防御はやらないんだよね。それに、
 魔法が発動しないところで 襲われてもすぐ対応できるように
 あまり剣術や柔術のときは「魔法」を使わないようにしてるんだよね。
 魔法に頼っていたら逃げられないだろう?」

にこっと笑って オレから タオルを受け取りながら
フランチェスコ王子は笑った。

ま じ か。

意識の高さに、驚いた。
あぁ、あのくそじじぃが気に入るわけだ。
『何か』に気が付いている『勘』の鋭さとともに
それを打開するための・・・努力。

しっかし・・・マーカーは魔法で身体強化や速度アップ 防御効果をまとっているのに
王子は 何もなし、とは・・・ちょっと危なくないか?
指導しているサーフェスのじじぃに聞いてみたら
「王子の服は『守り』が施されているから、ある程度大丈夫。」
だと。

あほか、もう少し王子をいたわれよ。
少し、服の保護魔術・・・強化しよう。


前回は、マーカーの従弟のペンテルに負けて
奥の海沿いの庭でいじけていた。

そりゃそうだ。
ペンテルはフランチェスコ王子の2つ上で この間
剣術大会の13歳以下の部門で優勝してたやつだぜ?

へこんでいるだろうな、とおもったら、
中庭の花壇の花に魔法で出した水をかけていた。
そして、光の魔術で・・・日光?栄養?

ってか、光の力 超 無駄使いじゃね??!!

声をかけようかと迷ったが、騎士ビラットに止められる。
あれが気分転換だそうだ。



・・・そうか。
切り替えも 早いし、その方法もちゃんと『知ってる』んだな。

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