隠れ蓑〜偽り恋人・真実の愛〜
周囲の輩に苛立ちを感じ始めた頃には、もう完全に彼女に堕ちていた。
彼女を守りたい。
初めての純粋な想いに、自分が1番戸惑ってつい〝偽りの恋人〟を提案してしまった事を本気で後悔している。
あの時、気持ちを伝えていたらこの関係はホンモノになっていたのだろうか。
彼女を傷つける奴を絶対に許さないと思っていたのに結局自分が1番傷つけてあんなに彼女を怯えさせてしまった。
それなのに彼女の顔が見たくなってしまって、ホテルを出て彼女のアパートに向かった。
チャイムを鳴らすが、人の気配はない。
専ら会うのは平日で職場か夜、彼女のアパートかで彼女の作る御飯を食べて彼女を抱いて、帰る。
そんな事を3年間も続けていた。
だから彼女の行きそうな場所だって検討もつかない。