隠れ蓑〜偽り恋人・真実の愛〜
最初は誘われるままに体を重ねた。
大概一度抱いた女は彼女ヅラをし始めて、束縛し始める。
それが鬱陶しくて一度きりの関係ばかりだったが、芹香は他の女とは違った。
相性が良かったのもそうだが、サバサバとした性格で側にいて楽だった。
愛情を求められることも無く、ただ身体を重ねるだけの関係。
所謂セフレという関係。
晶帆が気になり始めた頃までの数年、その関係は続いていた。
適当に女を抱かなくなったある日、芹香にセフレ関係の終わりを告げた時に初めて芹香の気持ちを知った。
都合よく性欲の捌け口にしていた相手が、まさか自分に本気だったなんて。
あんなに感情を表に出して、泣き叫ぶ芹香を見たのはそれが最初で最後だった。