隠れ蓑〜偽り恋人・真実の愛〜
男達と彼女の間に割って入ると、ホッとした表情を浮かべた彼女だったがこんな事その場しのぎだと分かっている。
根本的な解決にはならない。
でもだからと言って、助け出す方法が自分には思いつかない。
男に囲まれあんなに怯えた表情を浮かべる彼女に想いを告げるのは余りにも酷で、弱っていく彼女を眺めていることしかできずにいた。
そんなある日、入り口で掃除をしていた彼女が品のない男に絡まれているのを目にした。
咄嗟に彼女を助けようと足をそちらに向けようとした時、よく知った顔の男が彼女を庇うように割って入った。
困惑していた彼女の表情が、一瞬で和らいだのが分かった。
何度も頭を下げる彼女に見せる男の表情も、幼い頃から知っている男の自分の知らない表情で言葉を失った。