隠れ蓑〜偽り恋人・真実の愛〜
軽くパニックになる私をまるで子供を落ち着かせるように抱き寄せ、背中を優しく撫でる。
「、、はい、落ち着く。怒ってないからそんなに泣きそうな顔しない。抱き抱えても起きないくらい心身共に疲れてたって事でしょ?君が少しでも休めたなら良かった。丁度食事が出来たよ。何も食べないのは身体に良くない。少しくらいは胃に入れて、それからまた眠るといい。ほら、おいで。」
ベッドから優しく手を引かれ、美味しいそうな香りの漂うリビングへと連れられる。
「消化にいいようにリゾットにしたよ。」
ダイニングテーブルにはホカホカとリゾットから湯気が上がり、無くしていた筈の食欲が何処からともなく湧き上がってきた。
「すみません、、頂きます。」
静かにテーブルに掛けて、リゾットを一口に含むと優しい味に涙が溢れた。
食べ進めると、止めどなく涙が溢れてきて溜め込んできたモノが一気に外に出ていく。