隠れ蓑〜偽り恋人・真実の愛〜
「それに?」
「それに、、津川さんの晶帆だけに向ける表情をあれだけ見せつけられれば、誰もが諦めるしかないほどでしたから、、、。」
「溺愛ってやつね。」
納得したように頷いた柿本さんは、信号待ちで体ごとこちらに視線を向けた。
そして切ない表情で晶帆を見つめた。
「それはね、、、本当思うよね。晶帆の事、救い出してあげたくて色々動いてきたけど、かえって晶帆の立場を悪くしただけだった。圭は圭なりのやり方でしっかり守ってたんだって気付かされたよ。」
「、、そうですね、、、。」
2人ともその後は何か会話をする事なく無言。
暫くすると晶帆のアパートの前に車が停まった。
「、、柿本さんって晶帆のアパートの場所知ってたんですね。もしかして上がった事もあります、、?」
「ないよ。うちには呼ぶけど上がらせてもらった事は一度もはい。ほっておくと食事も取らないから無理やりうちに呼んで夕飯を一緒に取ってた。、、勿論、帰りはここまで送り届けてたよ。指一本触れてないから。」
「そうだったんですね、、。じゃあ、晶帆が倒れずにいるのも柿本さんのお陰だったんですね。なんか、、失礼な事ばかり言ってすみませんでした。結局、柿本さんってお人良しなんですね。」
晶帆を肩に支えて車から降りながら、声を掛けると一瞬驚いた表情をして、それから可笑しそうに笑った。