隠れ蓑〜偽り恋人・真実の愛〜
その日は2人でいつものスーパーに寄って、彼のマンションで水炊きをして、いつも通りアパートまで送ってもらった。
そしていつも通りの朝が来た。
毎日の日課である携帯を開き、彼からメッセージがいない事を確認して出勤の準備を始めた。
少し早めに家を出て、徒歩で出勤するのもいつもの事。
それなのに、今日は会社に着くと何故か社内が騒がしい。
ここ最近の痛いくらいの視線が来ない。
不思議に思いながらも、受付の制服に着替え受付に立つとロビーに人だかりを発見した。
人だかりの中心には一枚の紙が貼ってあって、目を凝らしてみてみるとどうやら〝辞令〟らしい。
さすがに誰の辞令かまでは見えなかったが、あの人の数を見る限り人気者への辞令のようだった。
でもあと少しでこの会社を退社する私にはあまり関係のない事だと思い、受付を綺麗に掃除していると真美ちゃんが隣にスッとやって来た。
「お、おはよう。真美ちゃん。」
「、、、先輩は、、知ってたんですか、、、?」
「え、、?知ってたって、、何を?」
俯きながら小声で声をかけられ、何の話をしているのか分からず戸惑ってしまう。