隠れ蓑〜偽り恋人・真実の愛〜


凄い勢いで迫ってくる真美ちゃんに笑顔を向ける。


「うん、、ごめんね?」

「っ、、、、そんなのっ、、嘘だっ、、!!!そんなの嘘ですよねっ、、!?だって、、だって、、先輩泣いたのなんてっ、、初めて見ましたもんっ、、!!!!先輩の隣に何年立ってると思ってるんですか!?!?そりゃあ、、先輩に嘘つかれてそれが腹立って!っそれでっ、、、拗ねて先輩に嫌な態度とってましたけど、、先輩の想い人が誰かなんてちゃんと分かってますから!!!!」



うっすらと涙を浮かべて叫ぶ真美ちゃんに驚いて、涙が引っ込んでしまった。

それに真美ちゃんがあまりにも大きな声を出した為、辞令に集中していた視線が一斉にこちらに向いたのが分かった。



その視線が怖くなり、逃げるように俯くと今度はロビーがより一層ザワザワと騒がしくなった。

そして聞こえる革靴の音。


その音は受付に向かって歩いているのを感じて、慌てて顔を上げて笑顔で言葉を発した。






「ジャパンライフ生命にようこそおいで下さいま、、、っ、、、。」


全てを言い終わる前に受付に現れた人物に左手首を掴まれた。





そしてその人物は薬指にハマった指輪を見て、舌打ちをしたのが分かった。

そのドス黒いオーラに圧倒して、声を出すことも逃げ出すことも出来ない。




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