隠れ蓑〜偽り恋人・真実の愛〜
黙り込んでいると、握られた手首に力が込められた。
「、、晶帆、無視しないでくれない?誰から貰ったものかを聞いてんだよっ、、!!」
ロビーに響き渡る彼の声。
その声に覚悟を決めて顔を上げる。
「出張お疲れ様でした、津川さん。あ、もう津川部長とお呼びした方がいいですね。出張は2週間と皆さん話されていましたが、早く終わられたんですね。でも、、お疲れでしょう?早く仕事を済ませて帰宅された方が宜しいのではないのですか?」
私の笑顔とは正反対で、眉間に皺を寄せる彼。
そして唸るような声で呟いた。
「久しぶりに会えた恋人に放つ第一声じゃないな。しかも質問には答えないわけだ。」
するとバックから何かを取り出し、それを勢いよく受付に叩きつけた。
「、、一身上の都合ってまさか寿退社じゃないよな?」
冷たく睨みつけられ、そのビリビリとした空気に恐怖を感じて笑顔を保てない。
「何故それを津川さんが持ってっ、、!?っ、、人事、、部長だからですか、、?」
「そんな事どうでもいい。こんな辞表、俺は認めないから。」
そう言って有ろう事にそれをビリビリに破いていく。
ロビーに散っていく私が書いた辞表を唖然と眺める事しかできない。