隠れ蓑〜偽り恋人・真実の愛〜
肩で息をするとようやく酸素が体に行き渡り体に血の気が戻っていく。
緊張から解放されたと同時に、恐怖が蘇ってきて指先が震える。
「、、先輩、、、。」
心配そうな真美ちゃんの声に、ハッとなり冷静を装って立ち上がった。
「業務中にごめんねっ!さっ仕事しよ。」
そう言って受付のテーブルを見ると、テーブルに亀裂が入っていて血が付着していた。
「それ、、さっき拳を叩きつけてた津川さんのですか、、?血が付いてる、、、。」
「か、会社の備品なのに、、ね。私が修理をお願いしにいってくるね。直ぐ戻ってくるけどその間お願いします。」
これ以上、真美ちゃんに何か言われるのを恐れて受付を離れた。
真美ちゃんは何か言いたそうな表情を浮かべていたが見て見ぬフリをした。
その日は週末だったこともあって、受付に戻った時にはロビーにお客様で溢れていて有難い事に仕事に追われた。
時間はあっという間に過ぎていて、チラリと時計を確認すると定時の退社時刻まであと1時間。
このままではマズイと思い、真美ちゃんに話しかける。
「真美ちゃん、ごめん。ちょっと体調が優れなくて、、申し訳ないんだけど少し早めに退社してもいいかな、、?」