硝子の花片

「困っているのですか？私で良ければ話、聞きますよ。」

直感で私はこの人が誠実な人であることを悟った。
理由は分からないけど何か、周りに優しくできる人だ。

「あ、見知らぬ人になんて相談出来ませんよね…。
私は新撰組1番組組長の沖田総司です。」

沖田、総司！
瑞奈のご先祖さま…

なるほど、だから懐かしい気がしたんだ。どこか瑞奈の面影があるから。

「あっ、私は睦月 桜夜です。」

瑞奈の先祖であり、歴史上の人物として現代にも名を残している凄い人なので、私は敬意を込めて深々とお辞儀をした。

「いい名前ですね。似合っていますよ、桜が。」

「あ、ありがとうございますっ！」

瑞奈に似た沖田さんのその端整な顔がふわっと綻び、それと同時にふわっと花片が舞った。

沖田さんの方が、桜が似合っている気がした。