硝子の花片
「ふふっ。やはり貴方はそうやって笑っていた方が良い。…先程まで深刻そうな顔をしていましたから。」

そうやってまた沖田さんは笑った。笑顔の絶えない人だ。瑞奈とそっくり。

「あの、実は私…未来から来たのかもしれません。」

沖田さんの瑞奈と似たその笑い方、仕草を見ていると瑞奈を錯覚させた。でも瑞奈と違って沖田さんは沢山の悲しみを、秘密を背負っていそうな、そんな感じがした。
だから、私の秘密も、戸惑いも全部話せそうだった。

「へえ…未来、ですか。」

馬鹿にするようでもなく、凄く疑うのでもなく、ただただ沖田さんは私の目を見つめていた。

「…ホントのことなんですね。貴方は嘘をついていない。目が真っ直ぐだ。 しかし、未来かぁ…どうやって来たんです?」

沖田さんが信じてくれたので安心して此処に来た経緯(と言ってもよくわからないが。)を話した。

「面白いこともあるものですね。では、桜夜さんは帰れない、という訳ですか…困りものですねぇ」

「はい…」

沖田さんは少し考えているのか唸っていたが、突然顔を上げ言った。

「では、屯所に来てください!」
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