硝子の花片

屯所、というのは恐らく沖田さん達新撰組が寝泊まりしている場所のことだろう。

沖田さんに連れられ、今の京都市内の壬生という場所に来た。

「こちらです。」

沖田さんが指さしたのは「八木」と書かれた表札のある門の前。

確か新撰組は八木邸と前川邸に屯所を置いていたんじゃ…？(瑞奈情報である)

門を潜り屋敷の中に入ると色んな人とすれ違う。
みんな私の事を奇妙なものを見る目で見るが、沖田さんを見ると緊張した面持ちで会釈をする。
沖田さんも、笑顔で軽く会釈を返している。

(やっぱり凄い人なんだぁ…)と思う。

そんな事を考えていると目の前を歩いていた沖田さんがある部屋の前でピタッと足を止めた。

部屋の襖をそっと開ける。

「土方さん。少し相談が。」

沖田さんが言うと、部屋の中から低い、江戸弁が聞こえてきた。

「ああ？あー、入れ。」