硝子の花片
中に入ると、文机に向かって顰めっ面をしている、長い黒髪を頭頂部近くで纏めた色白の役者みたいな色男が座っていた。ひじかた、と呼ばれていた人だろうか。

土方さんは私を見るなり怪訝そうな目をした。

「なんだ、そいつは」

「未来から来た女の子です。」

相手を威圧するような土方さんの目つきにも動じず、沖田さんは簡潔に言った。

お、沖田さん…強い…

「未来?それは事実なんだろうな?」

土方さんは疑うような目で私を見る。
目力というか威圧感が強く、私は声が出なかった。

「あれ、土方さんが怖いから怯えてますよ、桜夜さん。」

沖田さんが笑ってそう言うと、土方さんは困ったように頭をかいた。

「…すまねぇ。」

申し訳なさそうに、しかし私から目を逸らしながらボソッと土方さんは言った。
意外と素直でいい人なのかもしれない。

「一応、桜夜さんの言うことは信憑性があると私は思います。私が見た限り、嘘をついている様子はありませんし、そもそも桜夜さんが来ている服、見た事がありません。異人でも着ていないんじゃないですか?」

沖田さんは私の代わりに言ってくれた。確かに見知らぬ人である私が言うよりも土方さんの身近な、信頼を置いている(ように見える)沖田さんが言ってくれた方が伝わると思うのだが。


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