硝子の花片
急に視界が暗くなった。
あれ?息がしにくい…?

私は自分が置かれている状況が理解出来なかった。

数十秒後、やっと理解した。

平助くんに抱き締められていた。

「へ、平助くん…?」

「好きだよ。桜夜。」

(…?はい?)

平助くんは私を強く抱き締めたまま言った。


頬が熱くなっていく。私の体は温度が急上昇中だった。

でも心の中では謎の感情がぐるぐると渦巻いていた。
(この感情は、何?)

頭をやっとで回転させているうちに平助くんは私を離した。

その顔は赤くなってはいたけど、どこか呆れたような、悲しいような表情をしていた。

「…ごめんね?こんな事言って。気にしなくていいよ、だって桜夜は好きな人居るでしょ?自分の気持ちに素直に生きなきゃ、俺達新撰組の人生はそう長くないから。」

そう言い残して平助くんは去った。

(…私の、好きな人?)


< 34 / 105 >

この作品をシェア

pagetop