暴君陛下の愛したメイドⅡ【完】
少しズルい気もするけれど、こうでもしないとクレハは頼みを聞いてはくれない。
流石にそれは逆らえないようで、クレハは一瞬だけ苦い顔を見せたものの、
「命令とあれば従うのみです」
何とか承諾してくれた。
私はついでに他の事も頼んでみることにした。
「では、アニーナ様……「様はいらない。それと設定なのだけど宮殿で働く同僚でお願いできないかしら。後は私が説明した内容に合わせてくれれば問題ないから」
私とクレハはメイドと騎士で仕事内容は違うものの同じ側近部であり、
今回は町の視察も兼ねて偶然帰省する私とバディーを組み同行する事となった…………………という設定にした。
「……………あ、アニーナさ…ん。実家に帰省するということで浮かれるのは良いですが、くれぐれも足元にはお気をつけて下さいませ。転んだり、毒虫などに刺されても困りますので」
後少しで村へ着くこともあり気分の上がる私を見て、クレハはハラハラしたように私へそう言った。
「大丈夫よ!ここの道は小さい頃からの遊び場見たいなものだったし、心配し過ぎだって____きゃっ!!!」
小さな段差に気づかずに思わず足を滑らせてしまった私を、
「ですから言ったではありませんか……」
転ばぬようにクレハは手を回して体を支えた。
「あ、ありがとう……」
先程言われたばかりなのに調子にのったせいで早速転んでしまい、
申し訳無さと恥ずかしさで思わず声が小さくなる。