暴君陛下の愛したメイドⅡ【完】
「足元には"良く"お気をつけ下さいませ」
『良く』のとこだけ強く強調すると、
支えていた手をそ……っと離した。
無事に村へ到着した私達が実家を目指し歩いていると、偶然外へ出ていたお母さんと遭遇をした。
「あ、アニーナ………っ!!?」
声をかけるとまるで幽霊でも見たかのように、お母さんは目を見開き驚いた。
「お父さんの事も気になるし帰ってきたよ!」
ずっと宮殿で様付けもしくは、敬語で話されていた私にとって、
このようなやり取りは久しぶりで嬉しくなる。
「それに………手紙をわざわざ送るなんて、帰ってこいと言ってるようなものでしょう?」
数ヵ月に1回は手紙のやり取りをしているものの、あんなに短い薄い内容は今までで数回しか見た事がない。
それも、何かしら帰ってほしそうな内容であった記憶がある。
今回もお父さんのぎっくり腰を治してほしいか何かだろう………………。
「あらら………アニーナにはお見通しみたいね(笑)」
ほら…………やっぱり。
「あんなに短い内容久しぶりだったから、そうとしか見えないって……。まぁ、とにかく早く家に向おう?」
苦笑しつつ私は前に立っているお母さんにそう話しかけるが返事は返ってこず、何やら隣に視線が…………………。
あ!!!
すっかりクレハが隣にいるの忘れてた!!
「あんた……………その人……」
いかにもお母さんは『隣の人彼氏?』とでも言いたげな顔をしている。
「あのね!!同じ部署の人なの!!私が帰省許可おりたときに、ついでに近くの町の視察を命じられたんだけど、1人だと危ないからってバディーを」
咄嗟にあの設定を話すとお母さんは驚きつつも素直にその話を信じ込み、
「そうだったのね!あ、それならぜひここに泊まりなさい……っ!宿とかとってないんでしょう?アニーナと組んでいるのなら一緒にいた方が行動しやすいですし」
そう言ってクレハの腕を掴むと強引に家へと案内をした。