暴君陛下の愛したメイドⅡ【完】
家を出る前にお姉ちゃんが渡してくれた地図により、無事に学校へ着くことが出来た私達は早速理事長室へと向かった。
_____コンコンコンッ。
「誰かね」
クレハがドアをノックすると中から少し渋めの男の人の声が聞こえてきた。
「電話で連絡した者です。見学の為にきました」
「あぁ!先程事務員から聞いたよ。どうぞ中へ」
「失礼致します」
中から許可をもらった私達が、理事長室へと足を踏み入れるとそこには机の前にある黒椅子にドン……と腰をおろした60歳後半ぐらいの見た目をした男性がいた。
「やぁ、待っていたよ!私はここの理事長をしているヴァルセロ・ナンスキーだ」
「私はアニーナ・ミドル・セレファーナと申します。こちらはクレハ・エラストマー。急にこの様な訪問失礼致します……」
淑女らしくワンピースの裾を掴んでお辞儀をする。
「いや、こちらとしては大歓迎さ!そう言えばこの学校の生徒、グラント・セレファーナくんのお姉様だそうだね?」
私が話した訳でもないのに知っているということは、もしやエレナお姉ちゃんが最初に伝えたのかもしれない。
「えぇ。弟がいつもお世話になっております」
「いや〜、あの生徒はとても優秀だ!学力もそうだが一際剣術に優れ、この学校ではあの子の横に出るものなど今じゃおらんよ(笑)」
理事長先生はそう言ってガッハッハ…と口を大きくさせて豪快に笑った。
確か年に一度学校の中で行われる一大イベントの剣術トーナメント戦で、1500人の在校生の中から一年生でありながら優勝を勝ち取ったとは以前話で聞いた事がある。
現在グラントは2年生になっているが、他の生徒とは比べものにすらならないそうだ。
「………ほぅ。それほど強い生徒がこの学校の中に居るのですか。それは興味がありますね」
その話を聞いて隣に立ったいたクレハが興味深そうに口を開いた。
………………って。
「私の弟だからね!?貴方は宮殿の騎士、しかも第2騎士団団長なんだからまさかとは思うけれど手合わせとかしないでよ……?」
「…………」
黙っているところを見るとここに来てから特に体を動かす事もなかったので、もしかしたら動かしたくてウズウズしているのかもしれない。
でも相手は所詮学生だし、しかも私の弟。
宮殿の騎士様に比べたら相手にすらならないと思う。