暴君陛下の愛したメイドⅡ【完】
「ねぇ、クレハ」
「何でしょうか。お妃様」
「その者らに一度会わせてくれないかしら?」
二人が第二騎士団でクレハがその団長であれば、可能なはず!!
里の者であれば見たら分かるし、早めに会った方がその分こちらの対処もしやすくなる。
「お妃様がその者らに……ですか?」
「えぇ。クレハがそのように言う者らをこの目で見たくなったわ」
「…………」
私のお願いにクレハは考えるように目を伏せた。
どのように返事をしたらよいか困っている様子にも見える。
「あ……ごめんなさい。無理にってわけではないのよ?もしよければ会いたいと思って」
先ほどの質問とは違って今回は『はい』か『いいえ』の質問なのだが、すぐには答えられないところを見ると……上から何か言われているのかもしれない。
それなら無理やり会うのも悪いわね。
「……お妃様」
「……そうだったわ!!私今からメイド達と打ち合わせしないといけないの。だから今回は会うのを断念するわ」
クレハが話すよりも前に言い切った私は、自分から見たいと言っておいて急に断念した我儘な女のように見られたかもしれないけれど、
変に気を使わせるよりも良いと思った。
それに、
―――コンコンコン。
「お妃様、サニーでございます」
丁度サニーが来たので話的にも運が良かった。