暴君陛下の愛したメイドⅡ【完】

「お気遣いありがとうございます。せっかくですので、正妃任命の儀に身に着けようと思います」

正妃任命の儀と言ってもそこまで硬いものではなく、貴族界で言えば結婚お披露目のようなものだ。

好きなドレスを着ても良いし、大袈裟に言えばどんな服装をしても良い。

………まぁ、礼儀や作法を外れるような服装はもちろんいけないけれど、それはあくまで例え話。

「正妃任命の儀の準備は順調だ。当日はたくさんの来賓客が訪れる予定だが、そなたは気にせず普段通りにしていたらよい」

「お気遣いありがとうございます。私の方も準備が整っておりますので後は当日を迎えるだけでございます」

儀式の流れやどの手順で皇后としての任命書を頂くのか。その他にも礼のタイミンなど気になるところはたくさんあるが、国の儀式や作法に詳しい方が私の指導をして下さったおかげで、今のところ問題なく進んでいる。

後は……陛下の恥にならぬよう気を引き締めて儀式に臨むだけだ。


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