暴君陛下の愛したメイドⅡ【完】



「あの……………ここは?」


「知りたい?ここは……"死の牢屋"」


「死の…………牢屋?」


いかにも危なさそうな名前だ。


「ここに落ちた人はどのみち死ぬ………。仮に兵士が立入ってもバレないように上手く仕掛けされていて、上手く引っ掛かった女がどんどんここへ落ちてくる。まるで蜘蛛の巣のよう…………」


そういう女の人の瞳には希望なんてなかった。

「美人は貴族に売られ、そうでないものは奴隷として売られる。どのみち私達は幸せにはなれない」


つまりさっき言っていた『死』というのは、精神的もしくは社会的な意味で死なのかもしれない。


「貴女はまだ良い方よ。顔が整っているから恐らく貴族に売られるでしょうね……。でも、どのみち皆幸せな気持ちでここから出る事はないわ。そう、皆……………」


きっと何かあったのだろう。

次第に表情は暗くなる。


「入ってきたら入り口から外へ出れないかしら?」


「無理よ。アタシ達も試したけれどそもそも上には登れない。この部屋にも一つだけ出入り口があるけれど、それは外からしか開かない仕掛けになっているらしいわ」


つまり一度入ったら呼ばれるまで外に出れず、仮に呼ばれたとしても受け待つのは売られるのみってことか……。


取りあえず人身売買の情報は得られたんだけど、ここから出れなければ意味ないし、とんでもないところに落ちてしまったみたい。


< 54 / 368 >

この作品をシェア

pagetop