暴君陛下の愛したメイドⅡ【完】






「………………遅い」


一方クレハはアニーナが戻ってくるまでサンドイッチには手もつけず、帰りをただジッと席にて待っていた。



お店につけられている丸時計で確認してみるとすでに20分は経過しており、アニーナの頼んだパフェのアイスはドロドロに溶け、ここまでお手洗いにいるのも逆に不自然に感じる。


可笑しいと思ったクレハはついに席から立ち上がると、アニーナが居るであろうお手洗いに向かった。


____コンコンコン。


外から女性用のお手洗い場をノックする。


「失礼致します。アニーナさん、いらっしゃいますでしょうか?」


……………が、問いかけても返事などは返ってこない。


「……………アニーナさん?」


まるで中に誰も居ないかのように静まり返った室内に、嫌な予感だけが頭を過る。


「失礼致します!」


____ガチャ!!


「アニーナ様!…………居ない」

無礼とは分かっていつつ中へ足を踏み入れるが、中には誰一人姿はなかった。


窓だけが不自然に空いており、その他は全く変わりない。


「呼んでも返事がないのであればここには居ないのであろう……。念の為お店の方へ姿を見ていないか聞いてみるか」


クレハはお手洗い場から立ち去ると近くを通りかかった女の店員さんに声をかけた。


「すまないが私の連れを見ていないか?身長は……このぐらいで金色の髪をした女なのだが」

「いえ……………見ていないですね」


「お手洗い場に行かれたのでノックしたのですが、返事もない。外へ出たのではないかと思うのだが」

何も声をかけずに勝手に外へ出るとも思えない。

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