クールな御曹司の甘すぎる独占愛
そのあんこを思い浮かべながらだったのか、宮内が顔をしかめる。
「ですが、あんこは魔除けの意味合いもあるので、選挙なんかにはもってこいだと思いますが」
「魔除け? あんこが?」
騙すなよとでも言いたそうな顔だ。
「小豆はアジア熱帯地方の原産で、弥生時代に稲作と一緒に伝わったんです」
「へぇ、そんなに大昔にね。でも、それがどうして魔除けに?」
「小豆って赤いですよね? 古くから中国ではそれを“陽”として捉え、厄難などの“陰”を封じ込めると信じられていて、それが日本にも伝わって無病息災を祈願する年中行事などに赤飯やおはぎにして食べるように……って、ごめんなさい」
ついいい気になって語ったと気づき、奈々はハッとして口をつぐむ。
自分の好きな分野の話になると、どうしても舌が滑らかになるのは奈々のちょっと悪い癖だ。晶のときも知り合ってすぐに語り出し、恥ずかしい思いをしたのに。
「キミ、面白いな」
宮内が鼻を鳴らす。嫌な笑い方ではなかったが、奈々は「本当にすみません」と頭を下げた。