クールな御曹司の甘すぎる独占愛
謝らなければならないのは奈々も一緒。晶が一番嫌がる相手とふたりで会っていたのだから。
「私も、ごめんなさい」
「依子さんから話は聞かせてもらったよ。宮内にも、二度と奈々に近づくなと釘を刺しておいた。今後は、別の秘書に光風堂とのやり取りをさせろとね」
奈々が断れない立場だったと晶はわかってくれたようだった。
「晶さん、時間は大丈夫ですか?」
もう間もなく八時半になる。今日もこのあと仕事だろう。
晶はハッとしたように腕時計を確認して、奈々をそっと引き離した。
「奈々、これからしばらくの間、ちょっと仕事が立て込んでいるんだ。なかなか会えないかもしれないけど、連絡は必ずする」
晶は両肩に手を置き、奈々の顔を覗き込んだ。真っすぐな瞳が奈々を見つめる。
「はい」
奈々がうなずくと、晶はほっとしたように笑ってから額にキスを落とした。
「それじゃ、いってくる」
「いってらっしゃい」
そんなやり取りに恥ずかしくなりながら、奈々は晶の車を見送った。