クールな御曹司の甘すぎる独占愛
「奈々さん、ミヤビ、なにしに来たんですか? 晶って、水瀬さんのことですか?」
明美は、店に戻った奈々の腕を心配そうにそっと掴む。その目を見た奈々は、揺れる瞳を止められない。
「……大丈夫ですか?」
「うん、大丈夫よ。なんでもないの」
奈々の顔はなんでもない状況には決して見えないだろうが、明美はかえってそれ以上踏み込んではいけないと思ったのか、そのまま静かに口をつぐんだ。
ミヤビは、きっとそこまではやらないはず。好きなら、晶を苦しめるようなことはできない。
無理にそう思い込み、奈々はなんとか気持ちを立て直した。
店を閉め、ひとりになった光風堂。奈々は窓辺のテーブル席に座り、ライトアップされたホテルの中庭を眺めていた。ぼんやりしているように見えて、頭の中は忙しなくいろいろなことが駆け巡る。
ミヤビが暴挙には出ないだろうというのは、奈々の希望的観測にすぎない。そうであってほしい奈々の要望。もしかしたら本気で……との想像はできればしたくなかった。晶と別れたくはないから。