たった7日間で恋人になる方法


夕食は、夜景も見れるちょっと高めのしゃぶしゃぶ料理。

拓真君がこの一週間の労いも兼ねて、少し豪勢にしょうかと選んでくれたお店。

景色の良い窓辺の席に座れたものの、相変わらず外は雨で、見えるはずの絶景も半減してしまう。


『ねぇ、もういい加減、笑いすぎでしょ』

ひとしきり、お料理の準備を終えた店員が下がると、さっきから笑いが止まらない様子の拓真君に、真顔で抗議する。

『ああ、ごめん、でも…ほら俺だって、肩痛いし』
『それは、本当に悪かったって言ってるでしょう』

軽く頬を膨らまして、冷えたビールを口にすると、煮えたぎる出し鍋の中に、たっぷりの野菜を流し入れる。

『100分の上映時間の内、萌が起きてたの最初の10分間だよな』
『嘘!20分は起きてたし』
『それなら、主人公の二人が最初に出会った場所って、どこだった?』
『………レストラン?』
『古本屋』
『…記憶にない』
『ほらな。しかも、いきなり反対側の男にもたれかかるし』
『えッ!?』
『相手の女性に、俺がどんだけ睨まれたか』
『それは…ごめん…なさい』
『そもそも始まる前に、萌の方から映画に集中したいからって、言ってたくせに、くくっ…俺の肩に90分間も…あはは…』

思い出したのか、またひとしきり笑い出す。
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